春の闇に連れ去らレ


血は出てないけど、歯型はくっきり残っている。しかもこれ、服から出る場所に。

「犬……」
「あ?」
「痛いんですけど」

決まり悪そうな顔をしながら緤は下にいたあたしを起こしてくれた。でも噛まれたところは痛い。

「……ムカつく」
「は? え? どういうこと?」
「うるっせえな」

急に開き直り、ソファーから立ち上がる。

一言、謝れば良いだけなのに。

そんなことを思いながら、あたしだって死んでも良いと思いながら噛まれたら痛いと喚いている。

いやでも、ムカつくからとか旨そうだからで噛まれてたら血だらけになる。