春の闇に連れ去らレ


冷蔵庫から水とグラスを持ってきてから、ふと気付いた。

「あれ、二人はどうするんですか? 車で帰れませんよね?」
「迎え呼ぶ」

宅飲みで送迎させられるなんて、と思うけれどあたしも同じようなものだ。

水を注いだところで飲ませたかった人間には飲ませられないし。

ある程度テーブルを片付けたところで、シュウたちが立ち上がった。

「じゃあ帰る」
「お邪魔でしたー」
「お気をつけて」

玄関まで見送り、リビングへ戻ろうとすれば緤が出てきた。

ふらついてはいないけれど、ゆっくりした足取りを視界の端で確認する。