春の闇に連れ去らレ


ええ。嫌いなままなんかい。

ハッと笑って緤はソファーにもたれ掛かる。

「面倒になって話すのやめたな」
「わかるんですか」
「あとこいつ泥酔すると笑い始める」
「陽気だ……」

シュウの言葉に感想を漏らした。
実際、緤は時間が経つ毎にケラケラ笑い始める。

まあ泣き上戸とか怒るよりは良いけれど。

ソファーの上に引き上げたあたしの背中を笑う度にばしばし叩くのはやめてほしい。

「ちょ、っと緤さん、水飲みません?」
「あ? ただの水なら飲まねえぞ」
「天然水ですよ、たぶん」

天然かよ、と笑っている。痛い痛い。