春の闇に連れ去らレ




家に帰り、エアコンをつけたリビングの涼しさに感動を覚える。緤が荷物をおろして自室へ行った。あたしは冷凍庫にものをしまって、静かにリビングを出た。

脱衣所でTシャツを脱ぐ。ギプスに袋を巻いてから、服を全部脱ごうとした。
躊躇いなく扉が開かれる。

目があって、静止。

「何脱いでんだ」
「いや、シャワーを浴びようかと」

人を痴女みたいな言い方しないで貰いたい。

なるほど、という顔をして、緤はこちらに近付いた。何故キャミソールの裾を持っているのか。

「手伝ってやる」
「結構です」