春の闇に連れ去らレ


ぐっしょりと汗をかいていて、首回りがべとべとしている。その汗が冷えて寒く感じた。

「怖い夢でもみたか?」

すぐ近くにいたのは緤だった。

あれ、ここどこだっけ。

「腕がないって喚いてたぞ」

そうだ、シュウの家だ。どうしてここに緤が。シュウはどこにいったのか。

「……昨日、『爪を剥がれるくらいなら腕ごと持ってかれた方が良い』って話をしまして」
「拷問の話かよ」
「悪魔の召喚方法の話です」

だから変な夢をみてしまったのだろう。

確かに腕はついていた。まだちゃんとは動かせないけれど。