春の闇に連れ去らレ


ばたつかせた足をロックされて、途端に目眩がした。

こんなことになるとは想像もしていなかった。返り討ちに遭うだけで良かったのに。

「おい、生きてるか」

緤の首からぶら下がるドッグタグが肌に当たって冷たい。その温度の心地よさだけが残った。












目が覚めると、天井が見えた。
視界が半分になっている。頬が腫れている所為だ。

頬以外は身体のどこも痛くなくて、起き上がる。ベッドの上だった。

昨夜のことを思い出す。あの後、どうなったのか思い出せない。今は服を着ているけど。