近くにあったロープの切れ端を手繰って、首に巻き付ける。 縛った輪っかをドアノブに引っ掛けた。 死ぬのなんて、全然怖くない。 ずっと昔、母に死ぬのが怖いと泣いたことをふと思い出す。 千切れないか確かめたとき、その扉が向こう側から開けられた。 見知らぬ数名の男。 明らかに堅気ではなく、父の知り合いだとも思えない。 そう。 この日、あたしの人生はどん底まで落ちた。