春の闇に連れ去らレ


気が付くと、辺りが暗くなっていた。
窓から差し込むのは月灯りではなく、街の灯り。どれくらい眠っていたのか、分からない。
スマホも時計も見当たらない。

なんか、もう疲れた。

鞄を掴んだまま立ち上がる。家を出るときにも抵抗したので何発か殴られた。両頬が腫れて、視界が少し狭まっていた。瞬きをするだけでピリピリと痛みが走る。

廊下の電気も消されていて、玄関の方は暗闇だった。緤はまだ家にいるのだろうか。

静かにその寝室の扉に手をかけた。
鍵でもかけられているかと思ったけれど、普通に開いた。

寝室のカーテンは閉め切られていて、やはり暗い。