春の闇に連れ去らレ


照明の下で家具がぽつんと置かれている。空白の方が目立つ。

モデルルームをそのまま買い取ったような。

「んだよ、いいとこだったのに」
「いいから来い」

リビングに入って来た綺麗な顔があたしを一瞥する。

下半身は服を身に着けているのに、上半身はグレーのパーカーを着ているだけだった。

「それ、シュウの? どんなプレイしたらそうなんだよ」
「親父から、お前に」
「は?」

緤は顔を顰める。あたしと年はそこまで離れているようには見えない。
つまり、子どもだ。

何がどうして、緤を殺すという発想に至ったのか。