その日、人生のどん底まで落ちた。 ぶらりと垂れ下がった手。 天井から吊られた身体。 それが父だと理解するまでに何分かかっただろうか。 胃が痙攣して、夕べ食べたものの残りを吐く。 嗚咽する自分は、何かの人形みたいで、それでも人間だった。 父は逃げたのだ。 わたしから。全てから。この世から。 そんなの、ずるい。 こみ上げる思いがそんなものだなんて、誰かが聞いたら泣くだろうか。一体誰が泣いてくれるのだろう。その誰かは、あたしを救ってくれはしなかった。 じゃあ、一生泣いていれば良い。