「なんで二日連続・・・。」


合宿所に戻った最後の夜、デジャブのように未茉は同じ場所で正座をさせられていた。

「なんでじゃないだろっ!!試合中にコートに入り込み、選手にキスするなんて前代未聞っ!!!選手権剥奪にならなかっただけでもよかったと思いなさいっ!!!」

「いったぁぁいっ!!体罰だぁぁっ!!」

竹刀を振り回しビシィッ!!と神崎監督にお尻を叩かれながら未茉は合宿一番のお仕置きを受けていた。

カクンッ・・と寝落ちするものならば、
「寝るなぁっ!!」
「いたぁっ!」
と背中を竹刀で叩かれ、足をむずむずさせるものならば、
「動くなぁっ!!」
と足を竹刀で叩かれ・・・

「明日負けたら監督のせいだからなっ!!!」
痛さのあまり泣き出す未茉に、
「栃木なんぞに負けるエースなどうちにはいらんっ!!!」
ビシィッ!!とまた竹刀を振り上げられる。

「あ~~~。監督もっとやったらええわぁ~~。うちの胸がスーッとするでぇ~~~~。スーッとや。」
風呂上がりにビールをがぶ飲みするかのような気持ち良さそうな顔してジュースを飲みながら正座をする未茉の前をいい気味だと他人事のように通る静香に

「ちょっと待てコラ!!!静香ぁっ!!お前っー奴は親友・・・」と怒鳴りかけるも、背後から神崎監督の悪寒が漂ってきて
「白石ぃ~~~プラス30分だっ!!!」
「うぎゃぁぁああああっ!!!」

悲鳴が響き渡った30分後・・・。


「未茉ちゃん。」
ゲッソリした顔で正座をしたままの体勢で床にぴったり顔をつけたまま倒れこみ動かない未茉を翔真はツンツンっと突っつく。

「足は痺れたし、体中が痛い・・・。」
目は見開き、魂が抜ける未茉に、
「うん。ほら。」
屈んだ翔真は軽々と救い上げるように彼女の背中に手をやり抱き抱え、

「ちょっと話があるんだけど、付き合ってくれない?」

そう切り出したのであった。