「マイクと湊を戻してまた一気に突き放した方がよさそうね。相手はもう逆転の流れを掴んでる。一発勝負の勢いって怖いものがあるわ。」
慌ただしくなる男子のベンチを見ながら田島と神崎は息を飲み頷くと、


「匠兄っ!!!何やってんだよ!!!」


「「!!?」」
苛々の限界に達した未茉はベンチから立ち上がり、コートの中へとずかずか入っていった。
「「白石っ!!?」」
もちろんビーーッ!!!と審判に笛を吹かれタイムが取られ、試合は止まってしまった。

「未茉……?!」
ずんずんっとコートに足を踏み入れて匠に向かってくる彼女に審判も、
「き…君!!」
相手のチームの監督も注意を促す。
「「何やってんだ!!?白石っ!!?」」
両チームのベンチも立ち上がり選手達もうろたえる中、

パッシーン!!
と大きな音を響かせて匠の横頬を思いっきりひっぱたたき、
「……!」
彼が驚く次の瞬間、未茉は背伸びをして胸元のユニフォームを思いっきり両手で強引に引っ張り寄せ、

キスをした。


「なっ・・なぁんと…っ!?」
神様小倉記者もレンズ越しにびっくりしていると、

ーーーーざわっ!!!
「!?」
あまりにも突然なキスに目を見開き驚いた匠の唇と体を突き放し、

「目を覚ませよな!!」

そう言い放ち睨むと未茉はコートから出ていき、目を疑うような光景に両チーム達はざわめきだす。
「なんだ今の……」
「っーかキス………」