TIPOFF!! #LOVE AUTUMN






「本当に去年インターハイ優勝高のガードなわけ?ヘタすぎる。」
匠のプレーに肘をつき呆れるように言い放つ田島。
「いや、いつもは相当うまいですよ。星河弟、どうしたんですかね…らしくない。健さんがいないとエンジンかからないのかな?」
同じく大成のセンター石井も不思議そうに呟いた。
「誰かて不調な日はあるねんっ!!!」
ムッとした静香は先輩達にも関わらず盾をつくと

「そう。じゃ星河匠はいつまでたっても兄の健を越えられないわね。」
神崎監督までもが冷たく突き放した。

フリースローは二本ともしっかり決められ、茨城との差は10点に縮められ、着々と流れを引き寄せられる中、

「成瀬っ!!落ち着いてるうまいっ!!」
茨城のオフェンスから成瀬のスティールに走り出した匠がアウトサイドでボールを受け取り、一人しかいないゴール下を見て、

「「よしっ!匠さん行けッ!!!」」
その声がかかるもーー逆のアウトサイドにいる早乙女にボールを戻してしまう。
「「はぁっ!?なんで自分で行かないの!!?」」
がっかりする声がベンチに漏れ、そのまま早乙女が放ったシュートのリバウンドを取られまた茨城に追加点を許してしまう。


「6点差……」

その差し迫った点数に健は立ち上がった。

チームジャージを脱ぎ工藤監督に交代を申し出たてると、

「出るのか…!?星河健が…」
その姿に一気にざわざわっと会場全体が物々しい雰囲気になり、
「「きゃぁああああっ健様ぁぁあ!!」」
会場スタンドではプレーを待ちわびていたファン達が一斉に悲鳴をあげる。