TIPOFF!! #LOVE AUTUMN





「なんか元気ないな、匠兄。」

「当たり前や。憎きライバルは年下でしかもエースで振られた次の日にコートに立つやなんて辛いに決まっとる。」
静香は隣のベンチに座る翔真と未茉に聞こえるように言った。

「匠兄はそんなに弱い奴じゃねーよ。」
少し怒ったように言い返し、
「メンタルがどうであろうとコートに立ったら勝たなきゃいけねーのがバスケットプレーヤーだって言われてうちらは育ってきたんだから。」
父親から言われ教え続けられた未茉がそう言い放つと、聞こえていた健は小さく頷いた。

「ふんッ!!うちかて傷心やのに最高のパフォーマンスしたで。」
「あ?静香何回パスミスしたんだよ。」
「あれはお前がタイミングを合わせんかったからやっ!!」
ぎゃあぎゃあっと言い合う横で翔真は考えていた。
(同じ幼馴染みの兄貴でも匠さんは振ったのに健さんは振らないんだな・・しかも二回も。)
内心複雑なのであった。

ピーーッ!!
「またファウル!!?」
相手の上手さが勝りゴール下でファウルを取られて笛を吹かれてしまい、匠はコートの戻って早々に二度も相手にフリースローを与えてしまった。


「Why…?!なにやってるんだ匠の奴」
普段とはまるで違うプレーにベンチのマイクも苛立ちを隠せない。

「どうしたんだよ。匠…」
同じ王子の成瀬が思わず駆け寄った。
「ああ。悪い」
「匠さん、ドンマイ。」
早乙女もそうフォローをいれるも、
「悪い…」
気持ちだけが先走る空回りのオーラを醸し出していた。