TIPOFF!! #LOVE AUTUMN





「よし。匠、成瀬、早乙女行ってこい!」
「「はい」」
4Q残り五分、点差の開いた戦いに工藤監督は、明日に備えて主力の翔真とマイクを下げて匠以外は控え選手を投入した。

「早乙女っ!頑張って!!」
未茉が微笑むと、
「うん。ありがとう。」
パチンッと手を叩くと、その手を大事そうに握りしめ胸元に置いて深呼吸をし、
「よしっ!」と気合いを入れてコートに出ていった。

「また思わせ振りな態度とっとるでこのかまとと女!」
「あ・・?」
また静香が隣でチクリチクリと嫌みを放ち睨みながら押してくるので、
「モテねー女の僻みだな!」
「な・・なんやとっ!?うちは昔からモテモテやねん!!」
「いつどこの時代にお前がモテた時代があったつーんだよ!!」

「こら。うるさい。」
コートから下がってきた翔真はベンチに腰かけると、未茉の口を手で塞いだ。

「お疲れっ!余裕じゃん!」
「未茉ちゃんもね。」
優しく髪を撫でながら微笑む翔真と笑い合う姿がコートに立とうとする匠の視界にまで入ってきた。

「あっ、匠兄ーっ!!頑張ってっ!!」
コートに出ていく匠の姿に気づき未茉が大声で応援すると、
「……」
その声に気づくものの目は合わせず少しだけ頷いた。

(ったく。メンタルよえーな。)
昔から気持ちの弱さをプレーに出してしまう割りきれないところがある彼をベンチから見ていた健はため息ついた。