「…俺よりも?」

「匠兄や嵐とかそういう大好きとかは別だよ。なんっーか、それは家族愛だな。」
「……家族か。」
「おう。」
「俺は未茉を家族とか妹とは思えなくなってきたよ。」
「え?」
「さっきの告白聞いてなかった?」
「告白?」

「俺は未茉が好きだ。」

「ああ。あたしも匠兄のことーー」
「違うよ。女として。」
「!!?」
「妹でも家族でもなく女の子として好きだ。」

(・・・・女・・・??)
ぽかんとしたまま、数秒固まったまま意味を考えるも、

「やっぱり気づいてもなかったか……」
「えっ!?だって匠兄静香のこと好きなんじゃねーの!?」
「・・・一体そのガセネタはどこから来たんだ?」
「っーかっ!!マジかよなんで!!?なんであたしっ!!?」
あまりにも突然すぎて実感もわかずにただただパニックになったが、

「さぁ……なんでだろ」
ははっ。と寂しそうに虚ろな目で空笑いしながら匠は俯きながらベッドに腰かけて力が抜けたように背中を丸くし、頭を抱え込む姿に

「匠兄……」

そのやるせなそうに落ち込む姿が自分への想いを物語っているようで胸が突き刺さるようだった。

「ありがとな。嬉しい。」

ベッドに座る匠にゆっくり近づき未茉は立ったままギュッと抱き締めた。

「兄ちゃんとしては大好きだけど、それ以上でもそれ以下にもなれない。マジごめん。」
「分かっていたけど、あっさりだな。」
少しだけ笑った後、次に考えたのは兄のことだった。


「健のことは俺の分までもう少し迷ってやれよ。」

「……うん。分かった。」

ポンポンっと背中を叩かれると未茉はギュッと匠を抱き締めた。