「俺が好きなのは未茉だ!!」

勢いで思わず口走ってしまった思いに思わずハッと我に返り自分の口を塞ぎ、ぽかんとする未茉の顔を見ながら、
「あ……いや、うん。その通りで」
ばつが悪そうに困って照れながら視線を落とす匠は、段々声が小さくなって何度も髪をかきあげながら真っ赤な顔を冷ましてく。

「よし、分かった。ちょっと待て。俺出てくから。」
状況をいち早く汲み取った健は匠を落ち着かせて告白させようとしたので手をあげて扉へ向かった。

「健兄!」
さっきまでのこともあり未茉は思わず視線を追うも、健はウィンクして微笑み、部屋を出た。

……パタンッと部屋の扉を閉めて、健はため息つき、
「走るかな。」
なんだか妙にどっと疲れた彼は体育館に向かおうとすると、

「健さん。」

ちょうど風呂から出てきた翔真が部屋の前を通りかかった。

「あれ、お前今風呂上がり?遅くね?」
「午後練サボったからマイクさんにさっきまで絞られてました。」
「あー。つーかそれマイクの方が気の毒だな。」

「あの、未茉ちゃん部屋にいないみたいなんですけど、知りません?」
風呂上がりに顔見ようと未茉の部屋に寄った翔真は応答がなかったので、もしや…と思いながら健に尋ねた。