「あー、これはからかってるだけだぜ?ヤってはねー。」
「からかってるって・・・」
平然と話す健に匠は半信半疑だったが、

「くっ!」
ぷっと健は匠のはだけてよれたTシャツから見えた首筋に付いた赤いリップが頬やおでこやあちらこちらについたのを見て吹き出し、
「お前、相当な襲われ方したんだな。ぶっははっ」
「え!!?」
鏡を見た匠は更に青ざめ我に返って顔や首筋のリップを拭い去る。
「こっ…これは違くて!!」

「匠兄、静香とはもう話は終わったの?」
「え…えっ!?未茉知ってたの!?」
「へ?あーうん。二人の協力しよーと思ってだからこっちにあたしが来たんだよ。」

「え……?」

「さて、じゃあたしは帰るよ。」
痺れのおさまった足を投げ出し未茉は床に着地すると、

「協力って何を……?」
匠が思わずそう尋ねると、
「え、だから匠兄好きなんだろ?静香のこと。両思いだから協力して…」


「違う!俺が好きなのは未茉だ!!!」


(え・・・・
それ、今言っちゃう・・・?)
我が弟ながら匠のあまりのバットタイミングな告白を目の当たりにした兄の健は顔をひきつらせたのであった。