「静香ちゃんの部屋って…さすがにマズイんじゃ……」
「消灯までの時間なら構わへんですよ!未茉もそのうち帰ってくることやし。」
幼馴染みの名前を出してまずは匠の心を解そうとする悪どい静香に全く気づくことなく、

(未茉も帰ってくるしな。例のこと静香ちゃんも何か聞いてるかもしれないしな…)
ちょうど色々話したいことがあったので、
「じゃ…そうするかな。」
匠がそう返事すると、
「ほなっ行きましょ行きましょっ!!!♡♡♡」
腕を組み静香は匠を誘導しながらさっさと部屋へと引っ張るように歩きだし未茉の方をこっそり振り返り、

(邪魔したらあかんで。)

有無をいわさぬ目でアイコンタクトを送られると、

「べぇーーっだっ!!!」
あっかんべーして静香を睨んでやった。



「匠さんっ!紅茶でええですかっ!?」
「ああ、なんでもいいよ。」
部屋に着くと静香は部屋の備え付けのティーパックにお湯を注ぐ。

(緊張するでぇ~~~うちから言うべきかあっちから言うべきか・・まずは紅茶で心をリラックスさせな。盛り上がるもんも盛り上がらへん!)

おもむろにベッドに腰かけた匠は少し大きなため息をつきながら前屈みに両腕を組んだ。

(めっ・めっちゃ緊張してるやんっ!!!)
そう見えた静香の心臓は一気にばっくんばっくんと大きな音を立て始めた。

(あかん。な・・なんや、あんなあからさまにベッドの上に腰かけるちゅーのは、もう誘っとるゆーことやないかっ!そやな。昨夜の失敗を匠さんも反省して今夜は誘いに来たんやなっ!
大人や!!大人は分かりやすくてええっ!!)