「随分仲良しなんですね。」

試合について聞かれながら、バスケ記者と新聞記者やテレビの取材の人達が、未茉を連れた嵐にマイクやレコーダーを向けると、そう切り出した。

「まあ、幼なじみなんで。」
軽く未茉の肩に嵐が手をかけてそう答えると、パシャパシャっと一斉にカメラのフラッシュが向けられる。

(あれ・・・相手が違うような…)
神様小倉記者は翔真の方を見ながらも、とりあえず嵐達にカメラを向ける。

「幼なじみなんですか?」
「はい。未茉とは生まれた病院も一緒で、うちの親父が現役時代は家も近所で親同士も仲がよくて四六時中一緒にバスケしてました。」
「白石さんから見ると桐生さんはどんな存在ですか?」
「きょーだいみたいなもんかな。」

「こんな風に見るとお互いにトッププレイヤー同士のカップルみたいにも見えますね。」

「まぁ、まず互いに常に全国ナンバーワンプレイヤーになることが小さい頃からの俺らの夢です。」
(“まず”か。否定しない…)とその意味深さに記者達も心の中でざわめく。

「じゃ今日がその一歩ですね。」
サラブレッド同士の傍目から見たら爽やかな二人のツーショットに会場内の視線も集めた。

ざわざわっ…!!
「えーなに桐生さんとあの子そういう関係なのぉ!?」
「硬派な桐生さんがあんなに寄り添って…」
観客席でも二人の仲の良さにがっかりとした声が飛んできて、
「……」
コートに戻ってきたエマもそんな取材陣に囲まれる二人を見つめていた。