“なんで言われたことができないんだ!?”
みんなの前で大好きな神崎監督に怒られることは苦痛だった。
しかもガードのことは誉めて可愛がっている。それはいつぞやの自分と被っていた。
私はそいつのことが嫌いになった。
そいつのいうことに耳も傾けたくもない。
そいつを可愛がる監督のことも大嫌いになった。
そして、その場所も大嫌いになった。私は逃げた。
幸せで楽しかった日々に。
翔真といた日々に戻りたかった。
この憤りを埋めるくらい満たされる感情は翔真といた日々にしかありえなかった。
取り戻したかった…!)
「…!」
重かった足が何かを吹っ切ったように次第に軽く走れるようになってくると、持ち味の素早さを生かし、ユリは果敢にカットインを狙ってく。
「おお!!奪った!」
見事に成功し、自らレイアップシュートを決めた。
「いいぞ!!ユリがどんどん調子あげてってる!!」
数週間のブランクを感じさせないユリのプレーに東京男子も応援席から大きな拍手を送る。
「東京にも全国にも、ジャイコにパワーで勝てるものなどいない。だから監督は最初からジャイコにパワーで勝とうなんて思ってない。」
「ああ。パワーではジャイコには負けるがユリの機敏さとスピードではジャイコには負けない。こちらのウィークポイントだが、あっちのウィークポイントをちゃんと生かして得点に繋げてる。」
スピードとパワーのミスマッチにどっちが負けないかだ。と匠と成瀬は頷いた。



