第二Qからは石井の代わりに、大成高校二年の佐々木が出場した。
石井に次ぐ大成センターナンバー2の実力者であり、ポストプレーを得意とする選手で、183cmと石井より少しサイズは小さくなる。

「うっ…!!」
191cmの伊藤とのマッチアップだったが、ゴール下にパスが行くと簡単にシュートを許してしまう。

第2Q開始早々、立て続けに愛知に点を許し、東京は苦しい状態だった。
更にメンバー交代をすると原監督は、主力のエマを休ませた。


「なんだ。エマもう下げるのかよ。」
「エマじゃなくても勝てるって踏んだんだろ。」
観客もベンチに下がっていくエマにがっかりしてると、
「ふあぁっ。」と大きなあくびをして肩を回しながら、疲れなど微塵も見せないエマはベンチに腰かける。

「なんやあの態度!!なめとるな!!」
見逃さなかった静香は睨み付けると、

「何回対戦した所でお宅の田島じゃ相手にならないってよ。」
側にいた水越が冷たく嘲笑うかのように静香にボソッと言った。

「なんやて!?」
「そんなくだらない挑発に乗るな。」
聞いていた田島は静香を止めさせると、すぐにコートに戻っていく。

(あのプライドの固まりの人がそんなん言われて悔しいはずやのに…)
平然とするその後ろ姿を見て、エマに手も足もでない状態に気の毒に思っていた。