そして必死にゴール下の静香はジャイコのシュートコースを邪魔するように体をぶつけてくと、放ったシュートがリングから落ち、ユリがまたリバウンドを取った。

「よし!!さすがユリ!!」
「いいとこにいる!!」
速攻で前にボールを出し、走りだした田島はエマと1対1になった。

「勝負…!!」
構わずシュートを放つも、後ろからエリーの長い手が伸び力強くブロックされ、コートの外にボールが出る。

「はぁはぁ…くそ!!」

(思い通りにいかせてくれない。これが名古屋第一。全国ナンバーワン…)
息を切らし思わず膝を叩き、何度もこの壁にぶち当たり激しい苛立ちに襲われる。

インターハイの嫌な記憶が田島の中で蘇る。
78対38。
夏のインターハイでの最悪な記憶だ。
全国ベスト6
それでも誉められたことだろう。

でも一回も、エマの1対1には勝てなかったし、自分のディフェンスを簡単に抜き去っていったのは、田島のバスケ人生でエマだけだった。


「田島さん!!」

スローインから未茉に呼ばれパスをすると、191cmもある伊藤に体をぶつけられるも、ジャンプしてシュートと見せかけて、手を出すエマの隙間からボールを後ろへと一度隠して、右手でフックシュートを決める。

「どっからボールが出たの今…」
思わずジャイコもそう唸ってしまった。

スパッ…とネットを揺らす見事なシュートだった。