「なるほどね…。ゆっくりとハーフコートで一度止まり、エマかエリーのどちらからシュートが出来なかったら、中へのパスで決める。リバウンドに絶対的自信があるからこそできる愛知に対し、

ラン&パス。スピードとスタミナを武器に走って早いパスを回し、シュートを打つ東京のスタイル。両者のプレースタイルがよく出てるな…」
レンズ越しに神様小倉記者は、2チームを分析していた。


ピーピッピッ!とボールのないとこでファウルを取られてしまう。

「なんだ!?」

石井の側で水越は倒されていた。

「違うのに…!!」

ファウルに納得いかない石井に対し、神崎も審判に抗議するもオフェンスファウルを取られてしまった。

伊藤からは激しいプレッシャーをかけてきて石井も振りきると、オーバーに倒れられてしまった。

「石井さんファウル二個目か…」
まだ1Q五分で、愛知に対抗できる高さの石井が二個目は痛すぎた。
せっかくオフェンスもターンオーバーになってしまった。

「大丈夫だ!次しっかり守るぜ!!」
未茉が石井の肩を叩きながら走り、
「全員で守るぜ!!!」
わざとエリーの前でディフェンスしながら大声を出す。

そんな様子にまだ焦りもなんも感じてない白石と前園が神崎にとっては救いだった。

(散々東京ではゴール下の強さで蹴散らせてきた大成の王者のプライドがあるだろう。
…かっこよく決めたいのもわかる。でも愛知の前ではそんなのこれっぽちも通用しない。)

「かっこよく勝とうなんて思うな。この試合に勝つには相手のバスケをさせないことが大事だ。流れを掴んだら必ず勝てる!!」