ーーバシッ!!
ジャンプボールに競り勝ったのは、もちろん愛知だ。
190cm台に180cm台の石井に勝ち目はない。
(ジャンプ力も人並み以上の石井がジャンプボールに勝てないのを見たのは、夏のインターハイで見た全くの同じ光景だ。)
中々レアだと思いながら田島は全力で走り出す。
最初にボールが渡ったのは、ジャイコだった。
静香はジャイコに必死に食らいつくようにディフェンスする。
「うち相手にあのスタミナは最後まで持つかな?」
愛知代表の原監督はニヤリと神崎を見てほくそ笑む。
「絶対打たせへん!!!」
大きな体をぶつけながら中へ入ろうと伺ってるのか、パスか、その選択を激しいディフェンスでミス選択を誘わせる。
「「いいぞ静香!!ナイスプレッシャー!!」」
女子のベンチからはそう声が飛ぶが、ぴったりマークしてるがエマやエリーがパスを貰おうとディフェンスを翻弄するように動き回る。
エマやエリーに動かれると守る方の思考にも邪魔が入る。
「静香大丈夫だ!!ジャイコの動きよく見てろ!」
エリーをマークしながら冷静な未茉の声が飛んだ。
わずかなその一瞬で、伊藤がスイッチして中へ入りこむと見せかけるも…バックパスをエマが受け取り、前にパスしようとするフェイクを入れ、3ポイントシュートを沈める。
「「早い…」」
「早すぎでネットくぐったのもよく見えなかった…」
観客達も正確で早すぎるエマのシュートにスローモーションリプレイがほしいくらいだった。
バスケの女神の名に相応しい程の華麗なエマのシュートでこの勝負の口火を切った。