「前園はスタメンから外す。井上!明日からスタメンだ。」

「はい。いつでも準備できてます。」
ユリは翔真と体育館を去った後、神崎監督がそう指示すると大成でもスタメンであった井上が代表に入ることになった。
これで結局未茉以外は大成のメンツとなる。

それでも全国で通用する充分すぎるメンバーだった。


「ユリさんあんな恥じかかされたらもう戻ってこれへんとちゃいますか?」

やりすぎやと静香は呆れながら言うも、
「そう?あんなあからさまに男に泣きつく女なんていらないよ。甘えすぎ。」
「まぁ、必要な言葉だったよ。確かにあんなんじゃ井上もそうだけどサブ組だって納得いかないだろうし。」
大成メンバーを始め、少しだけすっきりしたように石井はドライに言うと、

「一番ショックだったのは案外神崎監督だったんじゃないの?」

心を鬼にして叱り続けた唯一桜蘭高校で指揮をとりユリを連れてきた神崎監督のどこか寂しそうな表情をしているのを田島は見抜いていた。

「あ、おい静香。湊がユリを慰めたとか白石に余計なこと言うんじゃねーよ?」

「安心してください。うちこう見えても口は堅いねん!」
「・・・そうか?そう見えねーけど・・・。」
「それにうち今人の恋路に首突っ込んでる暇はないんですわ。」
「あ・・・?」
「この有り余る魅力をどう押さえたらええんか……毎日そればかりやねん。」
うっとりした目で隣のコートの匠に熱烈な視線を送る静香に、

「お前もバスケ以外の余計な私情持ってくんならいつでも辞めてくれて構わないからな・・。」

呆れながら田島は冷たくそう言い放った・・・。