優勝候補愛知女子の初戦ということもあり、広いアリーナも会場席は遠方からエマみたさに応援に来た人達で座席は埋まり、立ち見も溢れる程の人で埋め尽くされていた。
「なんだ!やっぱり見に戻ってきたの?」
愛知の応援席には座らず、隅で立ち見しようとした不破だが、ららに見つかりギクリとしてる・・。
「どうせ負けんだ!あの女が負けて翔真がへこむとこ見てやりてぇーしな!!」
素直じゃなく威張ってる姿に、
「あっそう。」と、
ららは呆れて去ろうとするが、
「と…隣にいろよ!!俺は人気者なんだからよ!囲まれたら阻止しろ!!」
「・・誰が人気者よ・・誰が。」
がっちり掴まれた服を振り払い仕方なく隣にいてやる。
『東京代表、選手入場です。』
会場アナウンスが流れると、パチパチ…まばらな拍手が送られる。
全員の名前と高校名が呼ばれてベンチへ入場し、最後に呼ばれるのがスタメンでコートに入ってく。
『大成高校二年、石井早苗さん』
「189cmくらいかな?竜之介と変わらないんじゃん?」
「うるせー!!俺はまだ育ち盛りなんだよっ!!!」
あえての意地悪に耳元で怒鳴り返される。
『大成高校一年、中林静香さん』
「あっあのブスだ!!」
そんなことを言われてるとは知らずに弾んだ足取りで笑顔を振り撒きコートに入ると、
「ぶちゅー♡」
静香は匠のいる大成ベンチのアリーナの方に投げキッスを送る。



