ベンチの水筒の水を飲みに行くユリがインタビューからちょうど戻ってきた翔真に何か話しかけていた。

「ううっっ・・・・湊くぅぅん・・・」
向かい側のコートでアップするジャイコはその光景にタオルをくわえながら涙を流している。

「…」
バックボードから跳ね返るボールを受け取りながら未茉の視界の片隅に入ってきた。
傷つけてまで自分ではねのけたことが…

“らしくないよ!!”

早乙女の言葉が何度も頭の中をリピートしては、胸をしめつけていた。

「なんや未茉元気ないと違うか?」
「あ?」
二人組に分かれて体をぶつけ合いアップをしていると、ペアの様子にようやく気づいた静香は、

「緊張か?らしくないで。」
「らしくない、らしくない言うなよな!」
「急に睨んでなんや…あんた幸せとちゃうか?昨日文化祭で湊に大々的にコクられたんやろ?」

「告られてなんか…」

「湊ー!!!未茉が緊張してるで!!!元気つけさせてやっ…」
インタビューから戻ってきた翔真を見つけて大声で呼ぶ静香を未茉は、思いっきり後ろから蹴り飛ばす。

「なにすんのや!?うちはあんたの為に」
「誰が頼んだんじゃこのボケ!!自分が浮かれてるからって人を巻き込むな!!!」
倒れた静香を更に未茉は蹴り飛ばす。

「おい、東京は仲間割れか?大丈夫か・・?」
ざわざわと辺りはどよめく中、翔真は未茉の元へ走ろうとした時、隣からスッと現れた人物によって遮られた。