「あー…未茉?」
急に目の前に現れた未茉に少し考えた後、イヤホンを外し手を差し出した。
「うん!今日戦えるの楽しみにしてるな!」
にこっと笑うと、
「うん。」
普段わりと無表情なエマが握手に答えて話してるので、愛知女子はみんな驚いてる。
「エマ。宜しく。」
キャプテンとして田島がエマに挨拶するも、
「…」
何も言わずに愛知の列の中へ戻ってく。
(なんで白石には話してあたしには挨拶なしなんだよ・・・あたしの方が先輩なのにアイツ・・・調子にのりやがって・・・)
腹立たしさを押さえながら田島も戻っていった。
シュッ…!!スパッスパッ…
愛知女子がシュート練習を始めると、まるで精密機械のように誰がどこから打ってもスパスパとゴールに入ってく。
「すげぇ…落としてる奴がいねぇ…」
「しかもスピードが早くないか?」
狙いを定めて打つのではなく、力強く勢いよくリングに打ちこんでそれが面白いようにネットに落ちてく。
まだ試合も始まってないアップだけでも、観客は見るのを楽しんでいる。
「エマってマイペースだな。」
「余裕なんじゃないか?」
エマはボールも触ることなく、壁に寄りかかり床に座って音楽聞いてるのか目を閉じて動かない。
その周囲を寄せ付けない独特なスタイルに誰も近寄れないようだ。
「みっーまぁぁぁあっーーー!!」
「!!」
そんな時、後ろからどんっ!!と勢いよくタックルしてきたのは静香だった。
「いってぇなお前どこ行ってたんだよ!?」
「彼氏のとこや♡」
「は・・・っ?」
「うちな、匠さんとこの試合に勝ったらデートするんやで♡」
「えぇ!?匠兄と?」
「せや、この試合は絶対に勝ったるで!!!」
るんっ~♪花を飛ばしながら喜ぶ静香に、
「おう!!匠兄の為には負けた方がいいのかもしれねぇけど勝つわ!!」
「なんやて・・!?」



