「京都の4番、翔真にようやく気づいたか。」

不破が肘をつき高みの見物をしながら呟いた。

「愛知にいたのは中1の冬までだもんね。しかもあの頃は竜之介より目立っちゃいけないっていう奴隷としての自制心働いてたからね。」
本当にかわいそうと、ららは気の毒そうに怒る。

「うるせーな!!アイツは下手だったんだよ!!だから俺が色々アドバイスを」

「はぁ?何がアドバイスよ!!ばっかじゃん。湊は竜之介よりも全っ然うまかったのに、いっつも竜之介が一番得点取れるようにいいパス出して竜之介を輝かせようとしてくれてたんだからね!?感謝しなさいよ!!!」

「うっ・・・うっせー!!俺だってさっきだって翔真の為になぁ・・」
「なによ。」
「なんでもねーよ!!ぶぁーーっか!!」
唾をいっぱい飛ばし大声で怒鳴り付け、もう見るかこんな試合!と去っていく不破にららはため息ついて、

(でも竜之介関係なく、昔からそんなにバスケで目立ちたいとかいう奴じゃないんだよね。翔真がこんな派手なことして目を引いてんのは…)

「未茉に見せたいからだな。」

よかったね、湊がんばれ。と微笑む。
(うまく行くといいな。湊は優しすぎてすぐ遠慮しちゃうからな…)

さっきの不破の胸騒ぎが外れていて二人の関係がうまくいってるように祈った。