「あれ?湊いなくない?!」
「っーかアップにも出てきてないよね。」
試合開始一分前になっても一人コートに戻ってこないので二階席の神崎達も不思議に思ってると、
「…」
隣で見ていたユリも怪我でもしたのかと顔を曇らせていた。
「なんやユリさんまだ湊に未練タラタラなんですか?」
それを横で見ていた静香がふっと足を組み替えながら、
「ええですか?男っていうのは押しすぎるとあかんねん。たまに引いてみると向こうからぞっこんになって戻ってくんねん。ぞっこんやで?」
「・・・」←無視。
「せやな、星空に囲まれて輝くうちぐらいのレベルやないと通用しないかもしれんですけど!!」
がっはははっ!と髪をかきあげながら、いい女気取りをする静香に、
ユリは顔色ひとつ変えずにガン無視をする。
「おい!静香うるせーぞ!!!お前は白石探しに行ってこいったろ!!」
「あ!来ましたよ神崎さん!」
コートに戻ってきた翔真を石井が指を指すと、
「・・・ん?!」
あることに気づく。
「なんで湊が女子の荷物しょってるわけ・・・」
「さぁ・・・。」
「なんや!!なんや!!うち探したんやで!!?いつまで練習しとんねん!!遅いねん!!」
「わりぃー。」
全力疾走で未茉は息を切らして応援席に戻ってきた。
「白石なんでそんなに汗かいてんのよ。」
「未茉のことやからどうせ道に迷ってたんちゃうか?」
うちが見つけられんわけや。と鼻息荒くしてると、
「あっぶねぇー!翔真間に合ってよかったぜ!あ、荷物持たせたまんまか。まっいっか。」
やれやれ、とベンチにどすんっと腰をおろす涼しい顔をする未茉を見て、一同は嫌な予感が過った。
「おい、まさか湊のやつ・・・。」