「ユリ!お前何やってんだよ!!!」
ずかずかと足音を立てて未茉はユリの前までやってきて胸を押し睨む。
「……ごめ」
「ごめんじゃねえっ!!」
ビクッとするユリに未茉は容赦なく怒鳴り付け、
「未茉っ……何しとるねん!」
静香達も思わずうろたえるも、


「お前、何考えてここに立ってるんだよ。」

「……」
あまりの剣幕に男子達も足を止めてその騒ぎに目を見張り、神崎監督も止めやしなかった。

「いいか?ユリ。お前の出来高なんかコートに立ったら関係ねぇーんだよ。」

それは自分の中にある不安や恐怖に常にかられて考えながら動く自分を見破られていたのだ。

「お前はスターターだろっ!?東京全校から選ばれた五人の一人だろ!?スターターになりたくて練習終わってからも死ぬ気で練習してるサブの奴らよりも自信を持って勝負に挑まなきゃいけねーだろうがっ!!」

真っ赤になるユリに、その言葉に男女共にサブ組からの真剣な眼差しが突き刺さった。

「コートに立った奴は、調子が悪かろうがなんだろうがリングだけを見ろ!点を守って取ることだけを考えろ!!勝つことだけを考えろよ!!!」

「白石……」
自分が監督としてずっと伝えたかった言葉に神崎監督も驚いていた。
隣のコートにいた翔真もまた視線を送っていた。

「なにおどおどしてんだよ!!!ゴールに向かってどんどんアタックを仕掛けろよ!!!がむしゃらに死ぬ気でリバウンドこぼれ球をひろって得点につなげんだよ!!!あたし達、五人全員で動いて点取りに行くんだよっ!!!誰か一人が空気であったらダメなんだよ!!!」

その熱い思いはユリだけじゃなく、コートに立つみんなの心に響いていた。