彼女の手を優しく引っ張り、大きな人差し指で未茉の指を絡めるように優しくぎゅっと握り、

「ちゃんと俺を見ててよ。」

改まって翔真は真っ直ぐと未茉の目を見つめながら言った。


「は!?まさか…それでハーフタイム抜けてあたしを探しに来たとか言うんじゃないだろうな・・?」

「ん。」
当然のような顔して会えて嬉しそうな柔らかな笑みで答えるから、


「なんだよ…バカかお前…」

体の奥底から急に全身に熱が込み上げて来て胸がぎゅっとしたのがわかった。
こいつのこんなバカなとこが、すげー嬉しいって抱きつきたい気持ちが溢れてきて、

どうしようもねぇ。


「ほら!行くぞ!!!」

一瞬泣きそうになった自分の目を見られないようにゴシっと拭いて立ち上がり、翔真の腕を引っ張り、会場へ走り出す。

「あっ!未茉ちゃん荷物!!」

地面に転がる未茉のリュックに気付き、
「お前が持て!!」
「・・・・。」

「お前あと何分で始まるんだよ!?」
「ん…と、あと2分かな。」
「はぁあ!?バカかお前!!」
「いいアップになったよ。」
腕を引っ張られ荷物を背負わされても、嬉しそうににこにこと微笑んで走ってる。

ふと気づくと、

「あ!未茉ちゃん」
「あ?!」
「道、逆だ・・・・。」