更衣室で着替えが終わり、未茉は荷物を背負ってアリーナへ向かおうと体育館を出ると、
「ん…??」
ホテルで貰った体育館までの地図を広げ歩きだすと、
「れ??」
似たような道が広がっていて、さっき通ったはずのコンビニの前にまた戻ってきてしまった。
「ぬあっ!!なんてこった!?」
方向音痴がここでも遺憾なく発揮された未茉は冷や汗が流れると、
「!」
突然背後からはぁあはぁと荒い息をした人の気配を感じて振り向こうとした時、
ーーガシッ!!!
右腕を引っ張られて、
「うにゃぁあ!!!」
勢い余って背中よりも大きいリュックごとひっくり返って地面に横たわってしまうと、
その視界には、満点の青空を背景に汗がポタポタと流れて息を弾ませる翔真がいた。
「はぁあぁ!?翔真ぁあ!!?」
未茉は思わず大声をあげて叫んだ。
はぁはぁ…と息切れを押さえるかのように生唾を飲みながら、
「あっちぃー、試合より走った…」
地面に手をつき、未茉を見つけられてほっとしたように、にこっと微笑んだ。
「おまっ…試合じゃねーのか?!出れなかったのか!?」
「いや、ハーフタイム中」
「なんだそうか。ハーフタイム…」
試合には出てるんだと一瞬ホッとするも、驚愕の事実に目を見開く。
「ハーフタイム中って……!!お前!まさか抜けて…!?」
「うん。」
平然と頷く翔真に未茉は驚き、
「ばっかか!!お前!!なに考えてんだよ!!?」
リュックを振りなげ翔真にぶっつけると、
「応援、来てよ。」
寂しそうな捨て犬みたいな目でお願いされると、思わず思考も身体もフリーズしてしまった。