「うわっ、東京男子は初戦が京都なの?!」

きっついなぁ。と苦い顔をしながら、ららは不破を連れてやってきた。

「京都っても強豪洛北高の奴らだからインターハイ3位だぜ。御愁傷様だなっ東京!!!」
ざまぁみろっ!!とドカッと足を広げて二階のベンチに座り、会場を見下ろした。

(星河健がいないのが相当響くな。ざまぁ。)



(健がいてくれたら京都相手でも余裕だったな。)
同じくコートに入った副キャプテンのマイクも相手の京都のプレイヤーを見ながらそう思うほどに健の穴は全国レベルになると痛感する。

「6番の湊って見たことないな。」
「ああ。まだ一年か?」
「インターハイいなかったろ。」
相手の京都のメンバー同士がスタメンの翔真を見て言った。
それもそのはず高校では全国大会初デビューだ。


「…」
だが当の本人はまるで緊張する様子もなく、バッシュの紐をゆっくり結び、試合開始3分前のブザーがアリーナに鳴り響くと、翔真は二階客席の東京女子の応援シートを見渡した。


「なんだろ。さっきから湊がこっち見てキョロキョロしてない?」
監督の神崎が気づくと、

「どうせ湊のことだから白石探してんじゃないんですか?」
肘をつき呆れながら田島はズバリ正解を答える。

「信じらんない・・。さすがにこんな大舞台で普通なら京都相手に緊張するでしょう・・・」

「ふっあーははははっ!!!これじゃ未茉が来るまで湊はスイッチ入らないやろなっっ!!愉快やな!」
「まさか…さすがに湊もそこまで…」

と、静香のブラック冗談がまさかの的中することになった。