「くっそー負けた…でもやっぱお前とのバスケはクソ楽しいや!」

はぁはぁはぁ…息があがり、床に倒れながらも未茉は笑った。
嵐も少し息があがるもニッと微笑み返した。


「浮かねー顔してバスケしてんなよ。左手つれぇんだろ?」
「関係ねーよ。健兄の前に負けて手ぶらで帰るわけにはいかねーんだよ。」

「シュートを放ってリングに向かう時ボールに出ちまうもんだぜ。不安とか。考えてることとか。ブレがでちまうとぜってー入んないんだよ。あの瞬間が丸裸だぜ。」
「…」
「エマとの対戦はもっと楽しんでやってこいよ。今みたいに。」
「おう!!頑張るぜサンキュー!!!」
心配してくれたことに感謝し、エールをしっかり受け取りハイタッチしあうと、時計に気づいた。


「あ、そろそろ会場行かなきゃだ!!じゃーな!嵐、応援頼むわ!」

「おう。」
去ってく未茉が見えなくなると、振っていた手をゆっくりおろし、笑顔が少しずつ冷めてくと、

「見てたぜ。あれが嵐の愛しの白石さんか。」
福岡代表の嵐のチームメイトのキャプテンがいつ体育館に入ろうかタイミングを伺ってやって来た。

「写真で見るより可愛いな。あ、写真ってお前の寮の部屋に飾ってる写真だぜ?」
「やっやめてくださ…」
「バスケにも恋にも一途な優しいな男だな。相手してあげるなんてよ。」

「…でも勝てません。」
「え?」

「エマにも愛知にもあのままじゃ勝てないです。」

「…そりゃ酷ってもん…」
ーーーバシンッ!!!
思いっきり床にボールを叩きつけた。苛立ちをぶつけるように。

「あのまんまじゃアイツはダメになる…こんなとこでくすぶってるような才能じゃないんだよ!!!!」
クソ…と嵐はやりきれないもどかしさを吐き出した。


「俺はアイツの落ちぶれてく様なんか見たくねぇ…!!!」