「なんだよ?」
いつもなら抱きつくのに少し嫌な顔してそっぽ向くので未茉は険しい顔をすると、
「ガっガキみたいにきゅっ…急に抱きついたりするなよな!!俺はもうガキじゃねーし、お前とは違って今やバスケ界のスーパースターだからよ!!」
嵐には忘れもしないトラウマがあった。
夏に部屋でキスをして噛みつかれたことを…
「あははははっ!!!何気取ってんだか!!おめぇは昔から全っ然変わってないけどな!!」
大きな口を開けて笑う彼女を見て、まるで忘れられてるんだ…とどこか安心するも、悲しくもあった。
「なんだよ…!!俺なんかこの前スポーツ飲料のCMも出たしな、今度はナイキのバッシュデザインモデルも出て…」
「変わんねーよ!嵐はあたしにとってずっと嵐だぜ!」
にこっと歯を見せて笑う未茉は嵐に抱きつき、
「久しぶりっても二ヶ月ぶりくれーか!!」
結んだ髪が揺れてふわっと漂うシャンプーの匂いと、離れてる間に変わってくしなやかな体で女っぽい柔かな腕の感触に驚き、鼓動がドクドクと早くなる。
「あ…ああ…」
いつもみたいに腕を回して抱きしめればいいのに、未茉が未茉じゃないみたいで、戸惑うと手が迷ってしまう。
“人は変わるもんだぜ?むしろアイツは女だ”
前に言われた健の言葉が過った。
アイツは(湊)こんな未茉をいつも抱き締めてんのかな、と思うと…たまらなくて、悔しくて迷っていた拳を握り潰した。



