「よし、試合すんぞーっ!!」
ピーッと笛を吹きながら神崎監督が集合かけると、
「田島、一番(ガード)な。」
「はい。」
「白石二番、石井五番、静香四番。」
緊張の面持ちで名前が呼ばれるかユリは待ってるそんな彼女を見据えながらため息ついて、
「前園三番。」
「……!」
ホッとした様子で顔をあげて胸を撫で下ろすも、
「でもこれがラストチャンス。これでお前がスターターに相応しくなければ明日は使わないから覚悟して挑め。」
「……はい。」
(やる前にテンション下がること言うな・・・これじゃプレッシャーで前園動けなくなるんじゃねーの。)
田島はひきつりながらユリを見るともうすでにその顔色は曇っていた。
「いいか?寄せ集めのチームだからってチームの為に走らない奴も、ディフェンス一瞬でもサボった奴は容赦なく外す!!東京代表にはいらねぇからなっ!!!」
「「はいっ!!!」」
神崎監督の徹底した檄が飛びそれに答えるような女子達の声が体育館に響いた。
「ねーユリさん。」
ビブスを被りながら未茉はユリを呼んだ。
「…何」
口の中も渇くような緊張で半分上の空で返事をすると、
「暗いよ。」
「ーー……」
「ユリさんそんな暗かったけ?」
何を言い出すんだ、とコート上の三人も監督も険しい顔で未茉を見た。
「予選の時、もっとイキイキしてなかったか?あたしに突っかかってきたあの勢いねぇじゃん。」
「…ほっといてよ。」
プイッとそっぽを向くユリは、思わず深く目を閉じた。
(分かんない。きっと誰にも分かんない。応えられない気持ちーー体が思ったように動けない空回りも。)



