「え、女子とは宿泊ホテル違うんですか?」

爆睡をしていた翔真が目を覚ますと、女子達はすでに先に降りてしまっていて、車内には男子しか残っていなかった。

「女子と同じホテルじゃないと何か問題でもあるのかね?翔真君よぉ。」
パキッ・・と手の骨をならしながら緊張感漂う試合の前にふざけたことを聞いてくる翔真にマイクはプチ…と血管の切れる音を響かせ圧をかけてくる・・・


「おい!!翔真ぁっ!!!」

聞き覚えのある声にギクッと悪寒を感じて後ろを振り向くと、


「ふっ…不破さん…!!」

そこには夏の軽井沢合宿以来の不破の姿があった。


「てっめぇ!!昨日から何度も電話してんのになんで電話でねぇんだよ!!!」
ずかずかと歩いてやってきて翔真の耳元で大声で怒鳴られ、

「やっぱり・・・」
想像していた展開だった・・・。



「優勝候補の名古屋女子はシードじゃないんだなぁ。だから今日の初戦でいきなり戦うのか。」

一方、一足先に滞在先のホテルに未茉達は荷物をおろして、練習場の体育館までランニングしながら試合日程を確認する。

「一年だからエマは去年いないし。でもそれでも準優勝してるしね。去年優勝した女子の大阪よりも断然今年の愛知の方が強いよ。」

ちなみに自分達のいた東京女子は去年6位だと自慢げに石井がそう言うと、
「まっ、何はともあれ楽しみだなぁ!!」
急にわくわくしてくる未茉が一番乗りで体育館に到着すると、


「あっ!未茉ー!!!」


到着を待っていたかのように、ぶんぶんっと両手を大きく振るららに、

「おおっ!!!ららっ!!」
久しぶりー!!!と長年の友人が再会したかのような抱擁をがっちりかわすと、

「おい、お前…これから戦う敵と抱き合うバカいないだろうが!!!」
田島はごつんっ!!と未茉は頭を叩かれる・・・