「本当にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。強くなります。もう一度どうかチャンスを下さい。」

「前園…!!」
何も知らなかった神崎は驚いていたが…ゆっくりと頷き、

「期待はしない。」
そう言い切られ、思わず顔をあげるも、

「でも、その言葉は信じるからな。」

もう一度、望みを託すように伝えると、
「はいっ…!!」
涙が溢れ出す目元を押さえながらユリは深く強く決心した。

「よし、頑張れ!!」
こういう展開にちょっと弱く胸が熱くなったマイクは拍手を送ると、男バス一同も立ち上がり大きな拍手で迎えた。

「おかえり。頑張って。」
翔真の前の通路を通った時、目が合い驚いてはいたが優しい言葉をかけられ、

「うん。ありがとう。」

そこにはもうブレないユリが頷いた。



「なんや!!?一体どうゆっこっちゃ!?」
静香はまさかのユリの登場に騒ぎ出すが、
「うるせーぞ、静香」
睡眠妨害だと、田島は眉をひそめながら上着をかけて他人事のように眠り出す。

「うるさないですよ!!散々甘えたこと言うて今さらすぎませんかぁ?!うちは納得いきませんで!!」

(もしかして田島さんが…?)
こんなビックリな事態に全く驚いてない田島を見て石井は勘づいたが、黙っていた。


「未茉未茉、あんたまさかユリに湊を譲ったんちゃうやろな?!前にバスケするから翔真を譲ってくれってあの女に言われてたやろ?」

静香はまさかと思っていたことを未茉に尋ねると、聞いた匠も驚いてる。


「さぁな。」

昨日あれからユリはどうなったのか、今はそれどころじゃねぇな。と未茉はもう国体へと気持ちを切り替えていた。