「子供か。」
一番後方の座席でイヤホンで音楽を聞いてリラックスをしていた田島が目障りそうに未茉と静香コンビを見る。
「静香だけでもうっさいのに一人増えたし。」
石井と大成メンバーは、先が思いやられるいった感じだった。
「あ、前原さんおはよーーございまっす!!」
今回矢野の召集は見送られたが、女子は大成メンバーの他に唯一前原と未茉だけが東京で召集された。
すでに乗り込んでいた前原に挨拶するも、
「おはよ。」チラッと見てすぐに窓の景色に目を移した相変わらず無口な前原の隣に座ろうかと思ったが、
「未茉、ちょっと。」
声をかけられ振り向くと、
「あ、匠兄!」隣に座ろうと腰をかけると、
「おっせーだろ!!翔真!!」
バスの乗車口では汗をかき、息を切らした翔真が乗り込んできた。
「セーフ!」
怒るマイクに翔真は時計を見て苦笑いを浮かべると、
「セーフ!じゃねーだろ!!っとに!!緊張感足りねーのか!!」
やはり怒られるも、すぐに車内で未茉の姿を目で探す翔真を見逃さず、
「おまっ・・・まずは挨拶だろうがっ!!」
頭を掴まれそうになるところをすり抜け、
「未茉ちゃん!前原さん!こっち外!!」
窓の外を指さしたので、二人は席を立ち反対側の窓を見ると、
「「白石ー!!前原先輩ー!!湊ー!!頑張れーー!!!」」
そこには、“国体頑張れ!!”と書かれた横断幕を振りながら応援する結城と三上達を始めとした男バスメンバーと女バスメンバーが声をあげ、手を振って応援している。
嬉しくて顔色がぱぁっと明るくなった未茉は直ぐ様、バスの窓を開けて
「わぁー!!!みんなぁぁあ!!!ありがとう!!!絶対頑張るぜ!!」
「おー!!白石、エマに負けんなよ!!」
「任せとけ!!!」
期待に応えるようにガッツポーズすると、「あ!!」未茉は少し視線をそらし気付き、
「前原さんこっち!!」
未茉は前原の腕を引っ張り、指をさす。
そこには、声を出してないものの少しだけ離れた場所で矢野や二年達の姿もあった。