その去ってく後ろ姿を見てると、
こんなに思ってくれるのに、何を返していいのか分からず、胸の中のいてもたってもいられない思いが次々に込み上げてきて言葉を詰まらせる。
健兄もそれは分かってる…。
分かってて気にさせないような態度とってくれてる。
こんなにもの思いに答えられない自分が苦しくて仕方ない。
“大丈夫だ。これは兄としてのなんてことないハグだ”
“被害者は誰だよ!?未茉に何かあったら俺がぶっ飛ばしてた”
自分をかけてでも守ってくれた。あたしはいつもしてもらうばかりで何も返せてない。
いつも。いつも。
昔っから。
「健兄っ!!」
でも下を向くわけにはいかない。
見返りなんか誰も求めてねぇんだ。
健兄だって。キタローだって。
「あ?」
公園を出ていく健は呼ばれて振り返ると、
「絶対に勝つぜ!!!勝利を土産に帰ってくるな!!」
「おう。楽しみにしてる。」
それしか返せないけど、
それをしなければならない。絶対にな。