「あたしのせいだろ。…普通に」


“未茉に何かあったら俺が殴ってやるとこだ!!!”


「嬉しかったぜ。普通に…。あんなこと言ってくれて」
おでこを押さえながら少し目を潤ませて言った。
「普通に、普通にってなんだそれ。」
そう言って笑うも、苦しそうな表情の未茉を見つめた。

「だってベンチでも出たかっただろ!?今日たとえ怪我してても!!」
「自分のせいで、とか思うなよ。」

「…」
「俺はそういう役割なの。たとえお前が匠であっても俺はそうしてたしな。だからいつまでも自惚れてんな。」

「う…自惚れてなんかねーよ!!」
「自惚れてんだろ。俺がお前にベタ惚れだってよ。」
「うぅっ・・・・」
自分でもどうしていいのか分からない核心に触れられると、

「ぷっ!あははっ!!なんだその顔!!たこみてぇー真っ赤な丸顔」
「たこってなんだよ!」
元気ないかと思って心配していた健だったが、笑みに変わった未茉の姿に安心し、

「じゃこの話はこれで終わりな。今日頑張れよ。朝方ならって油断してきたけど謹慎中だし、もう行くぜ。」

話をさくっと切り上げて健はじゃあな。と手を振ると、

「うん、ありがとな。」


「おう。まぁ、自惚れてろよ。間違ってねーから。普通に?」

朝日がすうっと公園に差し込んでくると、またはぐらかすような曖昧な笑みを浮かべて眩しそうに健は笑った。