国体当日、左手にきつく巻かれたテーピングへの焦燥感からか、早朝集合だったのにも関わらずもう3時には目が覚めていた。
ポツポツと降りだしそうな雨空の中を走って、小さい頃からある近所の公園でシュートタッチを確かめるように何本も打ち込んでいた。
「やっぱりここでやってんのか。」
まだ夜明け前の薄暗い中、誰かと思ったら健がボールを持って現れた。
「えっなんで!?昨日実家泊まってたのか!?」
「ん、そう。」
よっ。と軽くボールを放ってネットを揺らした。
「電話したんだよ!!何度も。」
「あ、わりぃスマホ見てなかった。」
「なんだよもう!!」
未茉は苛立ったように健の背中を叩いたが、こうして会えて安心した。
「昨日、アイツとなんか話したのか?いつの間にか健兄帰ってたし」
「ちょっとな。」
「アイツ神崎監督の婚約者だって健兄知ってたんじゃねーのか?!二人で合宿の時もこそこそ会ってたろ?」
「国体終わったら話そうと思ってた。一方的に神崎監督を責めんなよ。分かってると思うけど、あの人のことは颯希さんとは切り離せ。本当に監督としても人間的にもいい人だぜ。」
「…分かってるよ。そんなことは。」
神崎が一生懸命自分にしてくれたことは、善意でしか伝わってない。
未茉のその消化不良の顔を見て、神崎に反発するとかはなさそうだな。と健は安心した。
「それと今日俺行かねーから。それだけ言っておこうと思ってさ。」
「は?!なんで!?」
「一週間謹慎の停学。警官殴ったしな。怪我してるうちに処罰受けといた方が後々なんか言われて試合出れないとか嫌だし。」
「…本当わりいマジごめん」
「は?別にお前のせいじゃねー。とか言いたいけど、お前のせいか!」
あははっと健は笑いながらピンっ!とデコピンをした。



