『無事に家に着いたかなと思って。』


着信に出るとまず翔真はそう会話を始めた。

怒ってるのかと思ってた未茉にとって、そのいつもと変わらない優しい声に驚いた。


「家には着いてなくて、病院で診察待ちで今禅にキスされてぶっ飛ばしたとこ。」

『えっ!!?』
まさかの状況なうに翔真も思わず大きな声が出てしまった。

「あたしのことは心配しなくても大丈夫だぜ。」
『待って。逆にそれはすげー心配だから』
「さっきは色々と心配かけて悪かった。それじゃ」
『待って。』

「…」

『明日頑張ってね。』
「はぁ?お前も頑張るんだろーが!!」
『あ、そうだった…』
「大丈夫か?お前・・・」
ぼけぼけしてる翔真が目に浮かび呆れてるが、

『うん。大丈夫。』
嬉しそうにうなずくアイツの声も目にうかんでしまうと、
「…」
思わず言葉が詰まってしまう。


『未茉ちゃんは、大丈夫?』


コイツのこの言葉にあたしの心のずっと奥底がぎゅっと疼く。
今すぐに会いたくて今すぐ抱きつきたくなる衝動を持ってる。

今まで散々抱きついてきたから分かる。
翔真の匂いとか、体温とか、手を回した時の背中の厚みとか、自分の手がその感触を喜んでるのも知ってる。