「最初警察にはマネージャーの北君が男の子に一方的に殴りかかったってなっていて、白石はそれは違うって怒ったの。警官はあまりにも言うこと聞いてくれなかったからか、白石が殴りそうになったのを星河君が殴ったのよ。」


きっと殴らないと気がおさまらなかった未茉の気をそらすために健は殴った。


「…」
パズルのピースは翔真の中では音を立ててぴったりはまる。


警察沙汰なんか起こしてしまったら、明日の出場なんかできないと思ったからだろう。

「でもちょっとびっくりしたわ。星河君って何があってもバスケしか見てない人だと思ったから。」


“停学くらいだろ?”

「あんな人生そのものがバスケのような人がましてや警官を殴って停学なんて簡単に口にするとは思っても見なかったわ。
明日は怪我で出場できないとはいえ、そんな勢いで簡単に行動する一面があるとは思わなかった。」

「確かにしかも白石の為なんかに」
結城が苦笑いで言うと、
「ああ、あれだけの人がな」
橘も頷くも、



「……そうですか?」

逆になんの意外性も感じなかった翔真にはこれっぽっちの違和感はなかった。


「多分、凄く嫉妬したのでしょう。北に。」
「嫉妬?」


「自分が守りたかったんじゃないですか?」


まるで自分も同じだと言わんばかりに静かに発したその言葉に、
「翔真…」
みんな翔真を心配そうに見つめたが、彼は雨に濡れた窓に肘をつき、滲んでく景色を見ていて、どんな表情をしていたのかは見ることはできなかった。