「おいっ新米!お前の狭い車にあたしと和希と莉穂を乗せてけっ!!」
「なにぃっ!こんなに心配とご面倒をおかけした担任様に向かってなんっつー口の聞き方だ!!」
文句を言いながら斎藤の車に乗ろうと、和希の車椅子を翔真の手から奪うように押し出す。
「未茉ちゃん。」
「…」
また背を向ける彼女を翔真は呼んだ。
「…なんだよ翔真。」
胸がざわつく。かき乱されるように。
声だけで、名前呼ばれるだけで、愛しいって、今すぐ抱きつきたいって思える奴は…
きっとコイツだけだ。
「今日は、絶対に一緒に帰ろう。って約束をしていたのにな。」
歯がゆさともどかしさから、翔真の目を反らして、未茉は去っていった。