「あっ!!キタロー!!」

そしてようやく最後に取り調べ室からキタローが出てくると、未茉が一番に駆け寄り抱きついた。


「よかった…!!本当にごめん!!!」
「だっ…だっだいっじょっ…」
密着しすぎて真っ赤に震えうまく話せないでいると、
「お前にこんな思いさせてマジでマジで悪かった!!」
涙を浮かべながら更に力を入れてしっかりきつく抱き寄せると、


「大丈夫だ。俺は白石の為ならどんな思いも幸せにしか感じない。」

「キタローぉぉ馬鹿だなぁお前は」
うるっと涙腺が緩んでしまうと、
「しかし、キタローお前、運動音痴だと思ってたけど喧嘩は強いんだな。」
意外な一面を見たと結城が頷くと、

「いや、最近空手を始めたんだ。」
「「空手ぇっ!?」」

「ああ。鍛えてるって言っただろ。」

未茉についていく体力がないため、筋トレを兼ねて始めたらしい。
「ああ・・・そういや言ってたな。そういうことかよ!」
あははっと思わず未茉は少し笑うと、キタローは翔真の方を見て、


「それより白石、一世一代の大勝負はどうしたんだ?」

「大勝負…」
「俺の心配はご無用だ。自分のことだけ考えろ。そして明日の国体も…」

「北ーっ!ご両親がお見えになったぞ!」
新米斎藤が入り口の方で迎えにきたキタローの両親と挨拶し、呼ぶと

「俺は、四六時中白石の幸せだけを願っている。その為の犠牲などはない。」

片目を光らせて、両親の元へ静かに消えていくキタローを黙って見つめてると、
「キタロー、お前らがベストカップルに選ばれるようにみんなにチラシ配って票を呼び掛けてくれてたんだぜ。」

「え」
だからか…と思い当たる節に二人は気づいた。