「あとの細かいことは弁護士がやってくれますから。」

颯希の言葉に野村監督はありがとうございます。と頭を下げたが、
「颯希、私は白石がくるまで待ってるわ。」
「時間の無駄だぜ。」
捨て台詞を吐くように言ってツカツカと帰ってく。

「おう」
颯希と並んで歩く健は、翔真と目が合い足を止め、

「わりぃけど、後頼むわ。」

そして翔真は小さく頷いた。


「…」
颯希も翔真の方を見て一瞬目があったような気がしたが、すぐにそらされた。


「莉穂も悪いけど、今日未茉と和希瑞希を頼む。」
「もちろんです。」
健は莉穂にもそう頼むと、颯希と二人で出ていってしまった。


「……」

何か意図があるような健の言動に翔真はただ黙ってた。


「白石を襲ったあの男の子の親が被害届取り下げたみたい。白石の両親の存在と弁護士から大事になったら代議士のそちらが不利になるってなったみたいで、なんだか色々もみ消されたっぽいわ。」

警官と話した神崎が大きなため息交じりに経緯を話し、
「北君と白石ももうすぐ出てくるわ。」
明日の国体には、とりあえずは影響はなそうという結果に一同は安堵のため息ついた。


「でもなんか後味悪いな…」


誰もが胸の中にある言葉を結城が思わず吐いた。