「一体何があったんですか?!白石が警察で騒いでるとか殴ったとか…俺ら心配で駆けつけて」
橘と結城が新米斎藤にそう尋ねてた時、背後からの足音に神崎は振り返った。


「あ…」

ツカツカと颯爽と廊下を早歩きする187㎝もある長身の男性は、バスケでは日本一の優勝最多記録を誇る王子学院大学のジャージ姿で現れた。

「あれ、もしかして白石の…」

バスケ動画や雑誌で何度も目にしたことがある憧れの雲の上の存在の人の思いがけない登場に橘と結城は驚いた。


「…颯希さんっ!!?」

何度か会ったことのある莉穂は未茉の兄の名前を呼ぶと、ふさぎこんで顔を未茉はゆっくりと上げた。


「綾乃。」

颯希は神崎を下の名前でそう呼ぶと、
「ごめんなさい。練習中でしたよね?」
気まずそうに謝る妙な雰囲気をみんな感じとっている。
「いや、こっちこそ。こんなくだらないことに先生のお手間をとらせてしまいすみません。」

颯希は斎藤と野村監督に軽く頭を下げた後、未茉の存在に気づくと、再びツカツカとそちらへと歩きだし、



「この恥さらしが。」


ーーーパシッ!!!


思いっきり未茉の頬を颯希は平手打ちをした。


「「!!?」」

まさかの登場とまさかの行動に我が目を疑うような光景を一同は目の当たりにした。